MENU

直感と違和感を信じられるか。

「すごい人数・・・・」

映画のエンドロールに流れる人の名前の数の多さに、少なからず圧倒されたのを覚えています。

このすばらしい作品に関わることができるって、それだけでもうれしいことに違いはないけど、これだけの数がいて、ひとりが関わることができるのっていったいどれくらいのカケラなんだろう。

会社で関わるプロジェクトだって、少人数で行うプロジェクトでもない限り、じぶんが担当する仕事が「どんな意味があるんだろう」って感じることも少なくない。

それが、これほどまでにたくさんの人数でたった2時間の作品を作り上げて、じぶんが関わった場所がわかるんだろうか。

じぶんが関わることにどんな意味があるか、理解しながら関わることができるんだろうか。

エンドロールを眺めながら、率直にそんなことを考えていました。

まだまだこの映画の感情に浸っていたい、そんな思いで手にしたのが「THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE」という本でした。

目次

映画完成にたどりつくまでの、長い道のりと苦労。

「THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE」という本があると知ったのは、「THE FIRST SLAM DUNK」の映画を2回観たあとのことでした。

映画好き、というわけでもない。

スラムダンクが大好き、というわけでもない。

もちろん、アニメでスラムダンクはリアルタイムで見ていたし、主題歌の大黒摩季や「世界が終わるまでは」なんかは今でも耳に残っています。

でも、中学・高校でバスケットをしていたわけでもないし、漫画を全巻集めて読んでいたわけでもない。

その上、最寄りの映画館でさえも車で2時間近くかかる。

にもかかわらず、映画を2回も観たのは、映画の中に終始流れる消えてしまうことはない痛みと、進みたくても立ちはだかる見えない厚い壁が、おとなになった今だからこそ共感、というレベルを超えて感じられるからじゃないんだろうか。

その世界をもっと深く覗いてみたいと、この本を手に取ることにしたのです。

井上 雄彦さんが、今回の映画「THE FIRST SLAM DUNK」で何を描きたかったとかは、ぜひ本を読んでいただいて、そして映画を観ていただきたいなと思うのですが。

何よりもびっくりしたのが、創作にかかった年月。

井上 雄彦さんに、映画化しませんか、というお話が来てから、「じゃあやりましょう」と動き始めるまでに5年かかってるんです。

5年!!!

すごくないですか?

どうしてもスラムダンクを映画化したいっていう、企画者やスタッフさんの熱意に圧倒されてしまう。だって5年もの間、ただ手紙を書き続けたわけじゃなく、井上さんの心を動かすために試行錯誤をし続けた。

それも、実現するかもわからないのに。

どこまでじぶんの直感と違和感を信じられるか。

そして、映画を作っていく段階での井上さん。

絶対にじぶんが納得するものにしたい、しなければいけないんだ、という熱意と決意があったからこそ、あれだけの作品を完成させることができたんだなぁと、感嘆のため息しか出ません。

スラムダンクの原作の作者ではあるけれど、映画を作っていくのは初めて。

それも、たくさんのプロフェッショナルとともに作り上げていく中で、初心者であるじぶんにしか正解はない。

ふつうの現場ではあまりやらないと言われたこともたくさんやってみたと言われます。

でも、作者である井上さんが納得できる作品でなければ、観る人に喜んでもらうことはできない。

そのために、何をしていいかもわからない中で、ひとつひとつ描いてスタッフに説明したり、微調整をしたり、声にしても動きにしてもすべてを試行錯誤していく。

「バスケかぶれの常識は俺には通用しねぇ。素人だからな」

と言った桜木花道のセリフは、井上雄彦さんのあり方で体現されていたんじゃないかと思えるんです。

きっとわたしなら怯んでしまう。

その道のプロフェッショナルが揃っている中で、違和感を違和感だと受け止めて、「それは違う」と言えるかどうか。

それだけでも怖くて足が震えてしまう。

それでも、わずかな違和感も見逃さずに、ていねいに作品に向き合っていくってすごい熱量だと思います。

映画に関して、素人だからこそ、遠回りもたくさんしたかもしれないけれど、だからこそこれだけのリアルで感動させられる作品ができたとも言えますよね。

その、尻込みしないで地道に一歩一歩歩いていく姿に圧倒されました。

映画をつくっていく中での井上さんの姿にも、見えない厚い壁に向かっていくパワーをもらったような気がしています。

手探りでも、一歩一歩、歩いて行こうと思いました。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次
閉じる