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「頼らない」に潜む被害者意識を手放す

「弁当箱くらい自分で洗いなさい」

SLE(全身性エリテマトーデス)になって、仕事復帰して間もない頃のことでした。

両親と実家で暮らしていて、食後の食器洗いはしたりしていたのですが、その日はあまりに体がきつくて、弁当箱だけとりあえずシンクに置いて横になっていました。

そんな時に言われたんです。

「弁当箱くらい、自分で洗いなさい。」

目次

頼らないで、疲れてしまう、その理由。

SLEは全身に炎症が起きる病気なので、全身に免疫抑制を効かせるお薬を飲んでいます。検査の数値は良くても、それに伴う症状、例えばレイノー症状と言って指先が冷えて真っ白になることもあるし、疲れやすいっていう症状も残っています。

数値とは関係なく、自覚症状が残っているっていうのは、この病気の特徴なのかもしれません。

それで、ヨガをしたりトレーニングをしたりと試行錯誤してきているわけなんですが、当時は、まだこの体に慣れていないのもあって、やっぱり疲れやすかったんですよね。

見た目は元気なのに疲れやすくて、横になっているので「怠け病」と言われることも多いと聞いていて、できるだけそうはなりたくないとおもっていたので、普段からできることはしていました。

にもかかわらず、あまりにも体がきつくてとりあえず横になりたい。

そうおもって弁当箱をシンクに置いて横になっていたら、「弁当箱くらい洗いなさい」と言われたことで、「やっぱりわかってもらえないんだな」と感じてしまったわけなんですね。

普段しているのに認めてもらえず悲しかったんです。怠けているわけじゃないのに、体がきついのに、わかってもらえない。それは自分のせいじゃないのに。

それで、今も、弁当箱は絶対にじぶんで洗うようにしています。

最近、ふと人を頼れない、任せられないでいることで、全部じぶんでしようとして疲れてしまうな、ということに気がついたんです。

頼れない。

なんでだろう、とおもった時に、この時の出来事が引きずっているような気がしました。

これ、正解・不正解・とか、この発言をした人を責めるとかどうとかそういう問題ではないんですよね。

起きていることはじぶんの中なんです。

だから、自分の心の中を見ていくしかないんですよね。

「自分がどう感じているか」がすべてなんです。

弁当箱のできごとは、じぶんの中では「かわいそうな自分」として残っていることに気がつきました。

「かわいそうな自分」、傷つけられた、わかってもらえないかわいそうな自分、つまり「被害者」を手放せないでいるんですね。

頼れない、任せられないで疲れてしまう、その根っこには、手放せていない「被害者意識」が潜んでいたんです。

じぶんの中でも何度が出てきたこの感情、手放したつもりでいてもときどき出てくるな、と感じることがあります。

頼らない、弁当箱を洗うのを誰かにお願いしない、任せない、でいることで体がきつくなったら誰かのせいにして怒りを感じることができる。

ひとつの出来事が、日常の些細なところに影響を及ぼします。

被害者意識を握りしめていることで得ているもの

なかなか手放せない、被害者意識。

なかなか抜けられない心理には、そこにいることで得ているものがある、とも言われています。

誰かのせいにしていられるということは、自分で責任を取らないでいられるってことなんですよね。

それってつまり、自分で選んでいない。

被害者意識を握りしめているってことは、人生の主導権を手放しているってことだ。

と、気づいたんです。

じゃあ、どうしたい?

任せられないから、じぶんでやって、疲れ切って、やりたいことをやる人生を諦める?

それとも、頼ってお願いして、エネルギーを残しておいて、じぶんのやりたいことをする?

どっちがご機嫌でいられるだろう。

どっちが充実してるって感じられるんだろう。

じぶん一人でがんばって、疲れてイライラして、自分の人生を生きてるって言えるだろうか。

お願いするってことも、頼るってことも、それも自分の選択なんですよね。

すべてはじぶんの選択であるってことに気がつかないと、前には進めないなって感じました。

それには、悲しい思いをした出来事も許して手放していく、ということも必要なのかな、と感じました。

感情の手放しは、一朝一夕にはいかないけれど、少しずつ、何度でも気づいて手放していけばいいのかなと思います。これも、こつこつ、こつこつです。一気に変えようとするとリバウンドするから、こつこつでいいんだと思います。

日常の些細なところに現れる、心の引っかかり。

それもじぶんの大切なこころのかけらだから、掬い取ってあげて、癒してあげられたらとおもいます。

その上で、じゃあほんとうはどうしたい?

とじぶんの本音に耳を傾けていきたいですね。

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