「大変なところにきたな・・・」
ICU(救命センター)に配属が決まったとき、あまりの覚えなくちゃいけなことの多さと覚えられる自信のなさで絶句したのをおぼえています。
ICUでは、命に関わる重症な患者さんが入院していて、身体に入っている管の止め方しだいで、命に関わることがあったりして、なんだかもう気が抜けない場所でした。
そんなわけで、記憶力にまったくの自信がなかったわたしは、あんちょこを作ることにしました。
あんちょことは、ミニ手帳のようなもので、googleで検索してみると、
《「あんちょく(安直)」の音変化》教科書を予習するのに、いちいち調べたり考えたりせずにすむように作られた、手軽な参考書。虎 (とら) の巻。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/あんちょこ/
だそうです。
「あれ?これで良かったんだっけ?」と確認して仕事をするために、仕事中になんども確認していました。それで、なんどもなんども確認していくうちに、知識として身についていきました。
わたしのあんちょこのつくりかた
当時使っていたのは、無印のA6サイズくらいのリングノートで、ドットのものです。ケースがついていて、ちょっとしたものやメモはここに入れて、必要なときに取り出して確認していました。
知識として必要な情報を前から勉強した順番に書いていき、その病院のなかではたらくにあたって必要な知識、たとえば書類をどこに提出するとかコストはどうするとか組織によって変わってくるような内容は後ろ側から書いていくようにして、前からも後ろからも使っていました。
たとえば、これはストーマのパウチ交換の方法。
ICUでパウチ交換をすることはほとんどなかったんですが、ごく稀にあったりすると、そういう『何度も経験する業務』じゃないものほど、やっぱり確認が必要になります。
なので、たまにしかないものでも、ちゃんと勉強しておかないとできないことは、勉強してメモに残していました。
このときのように、勉強した参考書のコピーを縮小して貼り、それに必要な知識や注意するポイント、観察項目を書いていきます。
どこかからイラストをコピーできればいいんですが、ちょうどいいものがなかったりするときには、こんなふうにじぶんでイラストを書いて、ここでもおなじ観察項目や注意することなどを書いていきます。
大切なことは、どういう症状が命に危険を及ぼすのか。
ドクターコールのポイントなどを意識して勉強していきます。
ドクターコールや搬送基準をしっておくこと
こういうあんちょこは、どこにいても、どういう分野にいても必要になるのかなと思っています。
ICUではドクターコールの判断基準がポイントでしたが、いつも医師がすぐそばにいるわけじゃない、施設なんかでは、搬送するかどうか、様子を見てもいいかどうかがポイントになってきます。
これは正直、施設のほうが判断に迷うことがたくさんあります。
ICUで重症な患者さんを多く見てきたからこそ、「これがもしかしてあれだったら命に関わるから早く病院に行ったほうがいい!」とおもうのですが、高齢者の特徴として、
✔ 症状が典型的でない。
✔ 意識レベルのアセスメントがしにくい
✔ 個人差がおおきい
などが挙げられるからです。
施設ではたらきはじめたばかりのころ、脳梗塞かどうかをアセスメントするのに「名前は?」と聞いても、そもそも認知症でそんなの言えるレベルじゃなかったりして、これは今までのやりかたじゃダメだなと思ったのを覚えています。
それに加えて、判断する材料になるデータがないんです。
ICUでは、
人によっては、心電図モニターに加えて、SPO2やEtco2(二酸化炭素モニター)、動脈圧ラインなどなどたーくさんの管がついていて、患者さんが何も言わなくてもそういうデータが教えてくれるんです。
でも、当然ですが施設にはなにもない。
なにもないなかでのアセスメント力は、鍛えていかなきゃいけない分野だなあと思っています。
最近は、膀胱に尿がたまっているかどうかも、恥骨に聴診器を当てて打診でその量をアセスメントできると知ってびっくりしていますが、まだ実践で使えるレベルには落とし込めていないのが現状です。
日々精進。
それもマイペースで
ICUに配属になったときは、3年目までどんどん新しいことを勉強しなくちゃいけなくて、毎日が試験勉強のようにテーブルのまわりに教科書が散乱している状態でしたが、今はゆるゆるです。
仕事だけがすべてじゃないです。
感情労働とも言われるこのお仕事。
自分のストレスもからだの疲れも発散したり、癒やしたりしつつ、ぼちぼち学びを深めていけたらと思っています。
ひとつでも参考にしていただけることがあったら幸いです。
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