ストイック、ということばが好きです。
その響きにあこがれさえ感じてしまうほど、そのことばを聞いただけで、引き寄せられてししまうような感覚さえあるんです。
ストイックに何かをやっているひとは、その道のプロフェッショナルになっているような感じがするし、
ストイックになることで、その先に見える世界が一段高い場所から見えるようになる気がするからなのか。
とにかく、ストイック、と聞いただけで、ことばがキランっと輝くような感覚さえあったほどです。
社会人なのに、受験生のようなデスクまわり。
救命センターではたらいていた時、勉強しなくちゃいけないことだらけで、途方にくれていました。
知っておかなきゃいけないことが多い上に、基礎知識をつけるために、毎月提出するレポートが準備されていたんです。
学生じゃないので、「これを読んで、これに書いてあることを書き写せば良い」というような教科書的なものがありません。
だから、レポートの課題を見ながら、どの本に書いてあるのかを探し、それを見ながら書いていくという生活が始まりました。
救命センターでは、1年目は術後管理ができるようになること、2年目は循環器といって心筋梗塞の治療や透析などの患者さんがみれるようになること、3年目になると心臓血管外科といって、心筋梗塞の手術をした患者さんがみれるようになることを目標にカリキュラムが組まれています。
カリキュラムが組まれているといっても、患者さんが都合よく入ってくるわけじゃないので、
「今日この人きたからみてみようか!」
と、突然実践バージョンがやってくることが多くあります。
もちろん、レポートで下準備のようなことはしていますが、実践編とは大違いです。
一度教えてもらったことでも、実際やってみると、現場の空気に緊張して飲み込まれてしまうような感覚と、下準備していたものでは足りなかった、となる感覚とで、どの分野も、どの患者さんも、最初のうちはあたふたあたふたします。
勉強していくうちに、わかることが増えていく反面、じゃあなんでこれはこうするんだろう? という、わからないことも増えていきます。
そうすると、レポートが終わったからといって仕事が終わったら完全プライベート、というわけにもいきません。
家に帰って、調べ物をしたり、勉強したりと、働きはじめて3年目くらいまでは、調べものをしては、ご飯の時に本を床に置く。というような暮らしをしてたので、社会人なのに、受験生のような部屋で過ごしていました。
ちからの抜き方がわからない。
そんな状態で、暮らしていると、帰ってくるとバタンと寝てしまうことが多くなりました。
夜勤明けに帰って眠ったりすると、目が覚めた時に
「え? 今いつの何時?」
時計を見ても、それが朝の10時なのか、夜の10時なのかがわからない。
時間によっては遅刻になる。
目が覚めると、今の時間を把握するのにドキッとして緊張が走るんです。
目が覚めたら仕事に行き、帰ってきたら息たえて眠ってしまう。
そんな生活に、なんのために生きてるのかわからなくなって、一旦その職場を離れることに決めました。
その後、体調を崩したり、病気になったりして「無理しないでね」と言われるし、他の誰かに言うこともあるんですが、
「・・・無理しないって、どうやって?」
とおもってしまうんです。
無理しない、方法がわからないし、ちからの抜き方がわからない。
マッサージに行ったときに、お姉さんに「・・・呼吸してますか?」と、呼吸が浅すぎて背中に触れていても呼吸しているのかわからなかったくらい、呼吸が浅かったんです。
陰ヨガで自然と力が抜けていった。
陰ヨガのワークショップに参加した時、陰ヨガに関する知識はあまりなくて参加したので、これでいいのかな? とちゃんとポーズができているのかわからないな、とおもいながらやっていました。
でも、最初はちょっとつらいなぁ、くらいの場所でストレッチが効いているのを感じていると、あるときふっと力が抜けて、それと同時に意識がなくなっていたみたいなんです。
チーンという音で意識が戻ってきて、
あ、今意識無くなってた。
ということに気がつくという感じです。
「良い子」気質なので、からだの変化をちゃんと感じよう! とか、どう感じているのか意識を向けよう! とか思っていると、あんまり意識が遠のいたりする感じにたどり着けない気がしました。
何も思わず、ただただ、マットとプロップス(補助具)に身を委ねて、からだの感覚にまかせていると、力が抜けるような感じがありました。
がんばり族は休むとか力を抜く時でさえ、「休もう!」とがんばってしまうので、ただただ身を委ねるだけ、の陰ヨガはちからを抜く練習にもおすすめです。
今までは、あこがれさえも感じていた「ストイック」ということばですが、今はそんな魅力をあまり感じなくなってきました。
マニアックなオタク気質なのは変わりませんが、ストイックからはすこし距離を置いて、心地いいがんばり方を模索しているところです。
がんばることはできるから、これからは、好きなことを深めること、好きなことに集中することにストイックになっていこうとおもっています。
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