「高い・・・高すぎる。」
あまりにも高くなってしまった。
そもそも、ふつうに買っていた時だってそれなりに高かった。オタク意外に誰が買うんだというレベルの値段ではあった。
それがいつのまにこんなに値上がりしてしまったんだろうか。
当時の3倍以上になっている。
あまりにも変わってしまったその世界に、驚愕しながらも、それでしか味わえないあの雰囲気を味わいたいと、また踏み出すことにしたのでした。
感覚を取り戻して、原点回帰を。
「こんなふうに見えるんだ」
見上げた空が一部しか見えないような新宿の高層ビルの隙間で、撮った写真がすごくすてきなものに見えたのがきっかけでした。
当時はやっていたHOLGAというトイカメラで、撮影してできた写真がふんわりボケていて、そして写真のまわりがうっすら黒くなっていて、とてもかわいかったんです。
目まぐるしく過ぎていく日常が、あまりにも当たり前すぎて気にも留めていなかった日常が、このカメラから見るとこんなにかわいく愛おしく見えるんだと感動したんです。
トイカメラは、フィルムを使っての撮影で、それまで使っていたのはAPSというカメラの筒のような部分にフィルムを入れたら自動的に撮影できるようにしてくれるものでした。
だから、フィルムを出して、カメラにセットするという体験自体がはじめてのことでした。
本を見ながら、ここにセットしてフィルムの穴をここにひっかけて・・・手動でくるくる、とまわすとフィルムが装着できたようでした。
本で見ている分にはむずかしそうだったフィルム装着(装填というらしいですが)も、やってみると意外とすんなりできました。
そして、どんなふうに写るんだろう、というどう転ぶかわからないおもしろさが当時のわたしにはおもしろくて、日常のいろんなものをトイカメラで撮影していました。
トイカメラをきっかけに、natura classica、LOMO LC-A+、ポラロイドのSX-70、果てはハッセルブラッドまでたくさんのカメラで撮影してきました。
今でもいちばんの相棒は、はじめて買ったフィルム一眼レフのnikon new FM2です。
うまくは撮れないけれど、フィルムの味わいがだいすきで、これは相棒として今も活躍しています。
ですが、あるきっかけでFUJIFILM XT2というミラーレス一眼レフを使うようになりました。
フィルムが好きなのは変わらずですが、大事な場面で撮れていないことがあってはいけないと、その頃から、いざという時にはデジタルを使うようになっていったんです。
スマホでもすごくきれいに撮れるようになっていましたし、撮った写真をすぐにSNSにアップできるということもあったので、デジタルで撮影することがほとんどになっていました。
フィルムを使うのはたまに、くらい。
でも、やっぱりフィルムがすき。
そうおもったら、もう一度フィルムで撮影したい、そう思うようになっていました。
フィルムの値段の高騰に驚愕。
「高い・・・。高すぎる・・・」
何度かもう一度フィルムを買おうをしたことはありました。
でも、高い。
そう思って、別のサイトで探したり、を繰り返していました。
それでも、やっぱり高いんです。
フィルム写真好きのともだちたちも、「高い」とつぶやいていたので、フィルム自体が需要が減ってきているのかもしれません。
それはもう、35枚撮りのフィルム1本800円くらいするころから言われていました。
人気だったフィルムがひとつなくなり、フィルムカメラも製造中止となり。
ずっと使っているフィルムもなくなってしまいました。
それでも、使いたい。
頻繁には買えないし、気軽には撮影できなくなってしまった。
それでも、やっぱり、じぶんのすき、に忠実でありたいとおもったんです。
日常を尊いものに変えてくれるスイッチ。
わたしにとってカメラとは、なんてことのない日常を尊いものに、愛おしいものに変えてくれるスイッチでもあるんです。
愛おしいもの。
美しいもの。
大切なものを、残したい。
そんなふうにして出来上がった写真は、タイムマシーンのようにその時の楽しかった記憶を呼び戻してくれるんです。
< じぶんのすき > に忠実になると、なんてことのない日常の幸福度がほんのすこし、上がるような気がします。
ひさしぶりに手にしたフィルムは、まだ現像に出せていませんが、どんな表情を見せてくれるのか楽しみに、丁寧に撮影していこうとおもいます。
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