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おむつ交換は、人生の最後を支えるケア

「もう早く死にたい。早くお迎えが来てほしいよ」

そう、杖もつかずに元気にデイサービスに通うおばあさんは言う。

「まだまだ、元気じゃないですかー」

と笑って話すけど、こんなに元気でもそんなふうに思うんだ、と思いました。

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高齢者は、人生の終末期を生きている。

看護師になりたいと思った時にも、働きはじめてからも、高齢者に関わることになるだろうなとは思っていなかったし、高齢者の病棟で働きたいなんて、1ミリも思っていませんでした。

いつか働きたいと思っていたホスピスは、高齢者がいるイメージはなかったし、救命センターでは大きな手術に耐えられる年齢の人がほとんどでした。

だから、じぶんが高齢者と関わることになるとは思ってもいなかったし、デイサービスで働くことになった時、周りの人は左遷されたくらいに思っていたかもしれません。

(実際、「それでいいの?」と聞かれたこともありました。)

デイサービスで働いてみると、元気に通ってくるおばあちゃんが、よくこんなふうに言ってたんですよね。

「早よ死にたい。こんな体で生きててもしょうがない」

元気に通ってきていて、レクリエーションでも笑って参加していても、ふと送迎のエレベーターの中で漏らす言葉がこんな感じ。

そんな人たちと接していくうちに、高齢者ケアは人生の最後を支えるケアなんだ、と思うようになったんです。

おばあちゃんたちが口にする「早く死にたい」と言うのは、終末期ケアでいうところの「スピリチュアルペイン」だと思ったんです。

緩和ケアの分野では4つの苦しみがあると言われていて、それがこの4つです。

①肉体的な苦しみ

②精神的な苦しみ

③社会的な苦しみ

④スピリチュアルペイン

年をとって、体のあちこちが痛くなったり、思うように動かなくなっていく中で、こんな状態でも生きている意味ってあるのかな、と思うようになってくるんですね。

特にデイサービスに通う人たちは、元気で活動しているわけじゃなく、体や心のどこかに不自由さを抱えていて、日常がスムーズにいってない感じがある。

そんな生活の中で、生きてて楽しいことがあるのかな、意味があるのかなって感じるようになるんだと思うんです。

介護も高齢者ケアも、人生の最後の時間を支えるケア

「おしめ変える仕事じゃん」

高齢者施設で働き始めたときに、こんなふうに感じて話した人がいるみたいなんです。

確かに、高齢者施設での介護の仕事内容は主におむつ交換や体位変換。食事介助など、やることに追われるし、そう感じるかもしれません。

でも、高齢者のケアって、やっている行動はおむつ交換でも、中身はその人の人生の最後の時間を支えるとっても尊い仕事だと思うんです。

実際、それに気づいた人は仕事が変わります。

「おしめ変える仕事じゃん」

そう言った人は、そのことに気づいたんだと思うんですが、若くして他の同僚に尊敬されるような関わり方をしていました。

仕事の業務内容だけをみると、ただただ大変な仕事かもしれません。でも、高齢者ケアが人生の最後を支えるケアをする場所だと気づくと、どんな工夫やケアができるだろうかと考えておもしろくなっていきます。

「あー楽しかった」と言ってもらうために。

「あー楽しかった」と言ってもらって、見送りたい。

言葉を発することはなくなってしまうことも多いのですが、心の中でだけでも「この人生楽しかった」と思ってもらって見送ることができたら、幸せだなって思うんです。

私たち、100%死んでしまうから。

みんな死ぬんです。

だからこそ、目の前の方に、最後に、楽しかったと言ってもらえるような、思ってもらえるようなケアができたらいいなと思うのです。

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