「ゆるす」ということについて考えています。
文字にすると、たったの3文字なのに、いざ、しようとすると、こんなにむずかしいのはなんでなんでしょうね。
イライラが止まらなくて、テンションを上げたいけれど、イライラの波に飲み込まれてしまって、イライラスパイラルから抜け出せないときに考えたのが、
「どうやったら“ゆるす”ことができるんだろう」
ということでした。
「許せない」の底にある「悲しみ」
「すっごい良かった!」
「感動した〜」
切ない痛みも、似たような経験からくる震えも、弱さをひっくるめた愛おしさも、いろんな感情を感じて心が痺れたような感じになって。
映画を観て、繰り返されるまいにちの中では味わえない感情で、こころの中が満たされた。
そんな経験をして、非日常を堪能して、そんな満たされた幸福感に浸っていたかった時、水を刺すようなことばが聞こえてきました。
ーーー信者はあれをいいと思うの?
ーーーそうでもなかったって、誰かが言ってたよ。
感動したその映画を、みんなが感動しなくたってかまわない。
同じように感じて、同じように語り合えなくたってそれでもいい。
でも、あえて泥を塗らなくてもいいんじゃないかとも思う。
一旦は手放したはずのそのできごとが、「まだ手放せてないでしょう」とでも言わんばかりにやってきたんです。
満たされた幸福感の上に、まだまだ浸っていたかったその感情の上に、泥を塗られたようなきもちになった。
満たされているこの感情を、否定されたような気持ちになった。
そこからイライラが止まらなくなって、なかなかそのイライラを手放すことができずにいました。
こんな感情のまま日常を過ごしていると、絶対に良くない。
第一、イライラして過ごしていたら、しあわせなんて感じていられない。
だけど、どこからどう感情を観察してみても、イライラしていることに変わりはなかったし、完全に怒りの波に飲み込まれていました。
どうしたらいいんだろう・・・。
・・・許す?
なんか、損した気分だな。
そう思っていたとき、SNSで見たことばにすごくしっくりくるのを感じました。
それが、
許すとは、損をしたまま手放すこと。
ということばです。
損をしたまま手放す。
怒りを手放す、と考えた時、なんかソンしたきぶんだな、と感じたわたしの心に、損をしたまま手放す、ということばは深く沈んでくるのでした。
「許せない」ってどんな状態なのか。
そもそも、「許す」ってなんなのだろう。
「許す」ってことは、「許せない」状態に、今あるってことですよね。
「許せない」状態って、どんな状態なんでしょう。
考えてみると、「許せない」状態って、じぶんが欠けたような感じがするんですよね。
許せない、っていう怒りの奥底には、大切に抱きしめていたいようなそんなじぶんの一部が削られた悲しさがあるような気がします。
欠けた、削られた、その痛みを握りしめていること。
その痛みをずっと感じていようとすること。
そう、「許せない」状態って、痛みをずっと感じていようとすることなんです。
だから、そのときのできごとに似てるって感じたら、そのときの痛みまた感じて悲しくなって、そして怒りが出てきます。
いつまでも痛みを感じようとしている状態、それが、「許せない」状態です。
損をしたまま手放すとは。
「許せない」状態って、欠けた痛みを握りしめていることだとお話ししました。
じぶんのたいせつなものが欠けたような、削られたようなきもちになって、痛みを感じているんですよね。
損をしたまま手放す、ってじゃあ何かって考えてみると、
欠けた部分とその痛みにばかり向けていた目を、別のことに向けるってことなんじゃないかと思うんです。
別の楽しいことに夢中になる、でもいいし、
そこではない未来のわくわくする予定、でもいい。
心が囚われているその欠けた部分から、離れ、別の方向に向かって歩き出す。
それが、損をしたまま手放すってことなんじゃないかと思うんです。
そして、そもそも、
欠けてなんかいないんです。
自尊心を傷つけられたような気がしても、
たいせつなものが否定されたような気がしても、
満たされた感情を否定されたような気がしても、
それこそが幻想で、それこそが思い込み。
だけど、そんな思い込みをすることさえも、過去に感じた傷がまだ癒えきっていないということ。
そんな時こそ、根っこの感情に寄り添って癒してあげる時かもしれません。
欠けたように見えるその痛みから、目を離し、じぶんの人生に集中した方が幸せでいられるような気がしませんか?
そんなことを考えているうちに、頭から離れなかったイライラが、いつの間にか消えていました。
きっと痛みと悲しみではなく、「許すってなんだ?」ってことに目を向け始めたからかもしれません。
痛みと悲しみに囚われず、じぶんをしあわせにするためにできることについて考えを巡らせていきましょう。
少しでも何かのヒントになれれば幸いです。
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